撮影データ(編集前データ)の販売をしないワケ
- 知隆 大川
- 5月31日
- 読了時間: 4分
更新日:6月3日
学校行事やイベントの「動画撮影」をご依頼いただく際、お客様から「撮影したデータ(編集前の動画データ)はもらえますか?」「撮影データを販売してもらえますか?」とご質問をいただくことがあります。
実は私、“撮影データは絶対に渡さない”と決めているんです。
は?なんで?
と思われる方もいらしゃると思いますので、そのワケと、その背景にある想いについてお伝えします。

生データ(編集前動画)とは?
動画撮影の現場では、カメラを回し続けることで、長時間にわたる膨大な映像データが記録されます。これが「生データ」です。
編集前の状態なので、カメラの位置調整やピント合わせ、不要な場面、音声のノイズ、カットのつなぎ目など、完成品には含めない“素材”がそのまま残っています。
プロの動画撮影においては、この生データをもとに、不要な部分をカットし、映像や音声を整え、見やすく・伝わりやすい作品に仕上げてから納品します。
生データを販売しない理由
1. プライバシーと安心のため
生データには、会話の途中や準備中の様子、意図しない映り込みや、公開を前提としていないシーンも多く含まれます。
撮影中はカメラから手を離すことがほとんどできないので、先生方や担当の方から聞いたことなど、メモをする暇がないときもあります。
なので私は、マイクに聞いたことを自分で話してメモ代わりに使ったりもします。
他にも、たくさんの子達を撮影するときに、
「この子は何回撮った、この子はあまり映っていない」
「ここは映してはいけない」
「このシーンはカットする」
「この子の名前は◯◯ちゃん」
「ここで別の素材をいれる」
など、編集のときに注意することを、忘れないように声で残すケースが非常に多いです。
これらは、ご本人やご家族のプライバシーを守る観点からも、そのままお渡しすべきではないと考えています。
大切な思い出だからこそ、きちんと編集し、安心してご覧いただける内容だけをお届けしたいという、強い想いがあります。
例えて言うなら、「生データをくれ!」ということは、芸人に「ネタ帳を見せろ!」と同じような感覚だと思っています。
2. プロとしての責任と品質へのこだわり
私たちカメラマンは、「編集」を通して作品としての価値を高めています。
長時間の生データには、ブレやピントのズレ、音が大きすぎたり、小さすぎたり、無関係な場面も多く含まれています。これらをそのままお渡しすることは、プロとしての品質基準に反します。
お客様にお届けするのは、見やすく、感動が伝わるように編集した“完成品”だけです。
3. 誤解やトラブルを防ぐため
生データは、一般の方がご覧になると
「なぜ同じ場面が何度もあるの?」
「途中でカメラが揺れているのはなぜ?」
「なぜ何度も撮り直しているの?」
など、編集前ならではの“粗さ”が気になることも多いです。
また、膨大なデータ量のため、パソコンやスマートフォンでの再生・保存が難しい場合もあります。
こうした誤解やトラブルを未然に防ぐためにも、生データの販売は行っていません。
お届けするのは「大切な思い出の完成品」
私がお届けする動画は、行事の流れや感動の瞬間がしっかり伝わるよう、時間をかけて、心を込めて編集したものです。
不要なシーンはカットし、音声や映像を整え、見返すたびに笑顔になれる“思い出の記録”を目指しています。
ご家族やご本人が安心して楽しめる、世界に一つだけの映像作品をお届けすることが、私の責任であり、誇りです。
これは"私の"考えです
この内容は、あくまで私の考えなので、他のカメラマンさんで販売してくれる方もいらっしゃると思いますし、「なに言ってんの?」と思う方もいらっしゃると思います。
決してデータ販売するカメラマンさんを否定しているわけではありません。
むしろすごいと思っています。
ただ私は、お客様により良い作品をお届けしたいので、撮影中に思ったことや聞いたことは声に残しますし、今撮っているところよりも良いシーンがあれば、画角が乱れたとしても問答無用で動き回ります。
そんなシーンを見てほしくないのはもちろんですが、なにより私が丹精込めて、愛情を込めて編集した動画の方を見ていただきたいという、強い想いがあってのこだわりです。
私たちの仕事は「撮影をすること」ではありません。
「お客様に喜んでいただける作品を届けること」だと思っています。
ぜひご理解いただけると嬉しいですm(_ _)m
どうしても生データが必要な場合はご相談ください
どうしても生データが必要な特別な事情がある場合は、事前にご相談いただければ、内容を十分にご説明した上で、全体を映した定点カメラのデータであれば、販売を検討させていただきます。
ただし、プライバシーや品質、データ管理の観点から、原則として行っておりません。
まとめ
生データを販売しないのは、お客様の大切な思い出を守り、最高の形で残すための私なりのこだわりです。
これからも安心して動画撮影をお任せいただけるよう、責任と誇りを持って仕事に取り組んでまいります。
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